やってみようウレタン塗装!
 キャンピングカーのちょっとした補修には缶ペイントを使うのが手軽です。しかし,キャンピングカーの色として販売されている塗料はもちろんありませんからカラーシート(色見本)などを使い最も近い色で塗装します。部分補修の場合は,必ずぼかしの技術を使わなければ色の違いが出てしまいいかにも素人が塗りました!という仕上がりになってしまいます。
 一方,キャンピングカーのある程度のボティをある程度の面積の補修となると缶ペイントでは充分ではありません。 (この充分ではないということについて以下でそれぞれの塗料の特色などで説明します。)
 このページでは修理工場などで行われている一般的な塗装についての解説です。道具を揃え,ある程度慣れてくれば素人でも缶ペイントでは出すことのできない光沢と耐候性をもつ塗装ができます。補修やパーツの塗装などぜひチャレンジしてみてください。
塗料のお話!
 缶ペイントと板金塗装屋さんが塗装している塗料は同じという話をよく耳にしますが,これは全く異なります。
 缶ペイントはラッカー系で塗料に含まれる溶剤の蒸発により塗装が乾き塗膜を形成します。一方板金塗装屋さんが使用している塗料は一般にウレタン塗料(正式にはポリウレタン塗料)といいます。この代表的な塗料の違いについては以下の表をご覧ください。
ウレタン塗料 缶ペイント
簡便性 手間がかかる お手軽
密着性 非常に強い 弱い
色の調整 調色によりどんな色でも作成可能 基本的に不可能
乾燥時間 溶剤の混ぜ具合により調整可能 調整不可能
塗料のノリ 非常によい 非常に悪い
1回の吹きつけの塗料の厚さ 厚い 薄い
光沢 非常によい 良い
磨きなどによる耐久性 非常によい 悪い
耐候性 非常によい 良くない
価格 缶と比較した場合安い(高い塗料もある) ウレタン塗料と比較した場合高い
塗料や塗装の知識を身に付けよう!
 塗装についての問い合わせなどもあり,塗料や塗装に関するページを作ろうと考えたのですが,とても1つのページに収まらないほど塗装は奥が深いものです。知り合いの腕の良い修理業者さんに教えてもらいながら私が始めてイタリア製の自分の車を全面塗装した約20年前のころと比べ塗料も数段よくなり,耐候性も非常によくなりました。例えば,昔の塗料は赤は色とびがあたりまえ・・・白は黄変があたりまえ・・・の時代でした。
 板金塗装屋さんの熟練された腕を目の当たりにするとその塗装技術には関心させられます。
 一方素人が缶ペイントで補修して,色が違っているも,はがれているもの,パテの下地が悪く段差ができているものがります。
 やはりプロにはかないませんが,少しでもプロに近づくために塗料や塗装の知識と技術を身に付けましょう。
 ガンで吹き付ける塗料は右写真のように様々な色を混ぜ合わせ作っていきます。サンフライヤーの白を作るのに黒や赤,黄色などを混ぜ合わせました。
まずは下地づくりを入念に!
 塗装は下地で決まるといっても過言ではありません。特にキャンピングカーはFRPのものが主流です。下地がしっかりとできていなければ塗料の吸い込みが著しく,つやにむらが出るばかりかパテを充てた部分がやせてへこんでしまったりします。
 また,逆に発砲ウレタンなどを注入しその上にFRPやパテを盛る場合などは発砲ウレタン注入後充分な時間をおかなければ,パテが割れたりFRPが盛り上がってきたりということもあります。特にアメリカ製キャンピングカーの大半は薄いガラスマットの下はベニア板,その下に発砲スチロール・・・という構成になっており,この下地もパテを塗るだけでは綺麗な下地を作ることができません。傷や損傷の具合により適切な下地を作らなければ後からやり直しという二度手間になってしまいます。
 パテにもポリパテとラッカーパテがあります。ラッカーパテは缶ペイント同様塗装がやせる特徴があります。また,ポリパテは金属素材に直接塗らなければなりません。(塗装やサーフェーサーがのこっている状態はだめ)  
プレーガンの基本
 スプレーガンをしようするにあたり,必要なものはコンプレッサーです。コンプレッサーはホームセンターでも最近では非常に安価で販売されています。よく”あれじゃ圧力が足りない・・・・”という方がいますが,全く問題ありません。職人さんによって様々ですが,通常塗装は4キロ程度の圧力でガンの距離が20センチ,塗料が約12センチ幅の調整程度を目安に塗装します。塗装パターンの重ね塗りは”3吹き2幅”と言われており,パターンが12センチ幅であれば,2回目は1回目に半分かぶせ,3回目で24センチ幅となるように吹き付けます。
 また,ガンは振り回さず,一定の感覚,一定のスピードで振ります。そのとき,塗装の肌を確認しながら距離やスピードを微調整します。これが一番の難関で,早過ぎればざらついた全く艶のない塗装(職人はガス肌と呼ぶ)になってしまいます。
 これは,ガンスピードや溶剤の量の不足などによるもので国産キャンピングカーの塗装でこのガス肌のものをよく目にします。ガス肌塗装の国内ビルダーの塗装技術ももっと頑張ってもらいたいものです。
 ガンの調整は,塗料の出る量,エアーの圧力,パターン角度などの調整により最も適したセッティングにしなければなりません。
 また,ウレタン塗料の場合は主剤とバインダー,溶剤を混ぜ合わせ化学変化により硬化させます。メーカー指定の量を忠実に守ることが綺麗な塗装の秘訣であり,スムーズなガン捌きが可能になります。
焼付け塗装は??
 よく焼きつけ塗装・・・という言葉を耳にしますが,板金屋さんにおいている赤外線のライトでの加熱は焼付け塗装ではありません。焼付け塗装をするにはそれなりの設備が必要となります。焼付け塗装は焼付け専用の塗料を使用し約120度以上の高温で塗料を焼きます。また,このように高温になるため,再焼付け塗装ではビニールやプラスチックなどは当然溶けてしまいます。本当に焼付け塗装をするところはドアならドアだけを外し溶ける部分は全て外して専用ブースで塗装をしています。
実践変   サーフェーサー塗装
 サーフェーサーとはパテや削られた塗装の段差を目立たなくし,FRPへの塗料の吸い込みによる艶がでない状態を防いでくれる役割をします。またさらに,塗料のノリをよくして光沢のある仕上がりが可能となります。重ね塗りを行う場合は指触乾燥になってから塗り重ねます。
 右の写真は4〜5コートのサーフェーサーです。
 この場合,前の塗装の段差があったので下地をとぎ,段差を無くした後でさらにサーフェーサーを吹き付けます。サーフェーサーを使用しなくても塗装は可能なのですが,そのまま塗装すると段差がしっかり分かります。
 また,ペーパーの研磨により段差がないように見えてみ実際に塗装するとその段差がくっきり出てしまうからです。
 サーフェーサーが乾いたところでこの足付けを行います。足付けとはペーパーで傷を入れること。この傷がしっかりついていないと塗料の密着が低下することがあります。研磨は耐水ペーパーを使って水をつけながら磨きます。
実践編   マスキング
 サーフェーサーの下地ができたところで再度マスキングをやり直します。ペーパーをかけた磨き粉や水分が付着しているからです。またマスキングは細かい部分へ施さないと余計なところへ塗料が付着すると後から除去するのが大変です。マスキングテープはけちらずしっかり止めることが基本です。
細かい錆が発生していたため錆を落とした後に塗装を ボイラーとFFヒータの変色をボディを同色にあわせる為の塗装 再マスキング
実践編   塗 装
 塗装は先に述べたようにガン速度,距離で仕上がりが大きく異なります。また一定していないとムラがたくさん出てしまいあとからの磨きが必要となり大変な労力が必要となります。
 ガンさばきもなれてくれば,あとから磨きが全く必要ないほど艶を出すことが可能です。
 初めてガンを使う方は,廃棄している鉄板やガラスなどでためし吹きをしたり,実際にガンを握ってイメージトレーニングしたりすることで体に覚えさせることが大切です。
 何も考えないでレバーだけを引いても艶が全くでないお粗末な塗装になってしまいます。
 常に塗装肌を確認しながら,速度と距離を頭の中に入れる・・・が基本です。
仕上がり



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